発達障碍

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神経発達障群とも呼ばれる.これには、知的障碍、自閉症スペクトラム(広汎性発達障碍)、注意欠陥多動症、限局性学習症(学習障碍)があり、後者三つをまとめて発達障碍ともよばれる.米国精神医学会によるDSM-Vにおいても、発達早期に発症する神経発達症に含まれる以下の三つの障碍からなる.自閉症スペクトラム、注意欠陥多動症、限局性学習症である.

自閉症スペクトラムは、社会的コミュニケーションや対人的相互作用の質的障碍((心の理論の形成の遅れ)やその質が異なるため、定型発達のように他者の心を瞬間には読めず、相手とのやりとりがスムーズにできない)、行動・興味や活動の限定された反復的な様式(例えばクサガメや数字など特定の領域に並外れた興味と知識をもち、その話ばかりする、音などへの感覚過敏で特定の感覚を一貫して忌避する)を特徴とする社会性の障碍である.有病率は1.5%、うち知的障害を含むものが0.3-0.5%である.男女比4:1で男児に多い症状として、社会性の問題(他人を嫌がる、人の気持ちを理解するのが苦手、人から関わられることを嫌がる、人への関わりが一方的、表情が乏しいなど)、コミュニケーションの問題(冗談や比喩が理解できず言葉どおりに受け取ってしまう、自分の興味のあることを一方的に話したりするため会話が成立しにくい、指示が理解できない、人の表情や場を読むことが苦手、セリフ口調や気持ちのこもらない話し方など、話し言葉が独特)、想像力の問題(眼前にないものや実在しない事柄を想像したり、空想したりすることが苦手、概念や抽象的な事項の理解が困難、会話のなかで省略されている部分を推測することがにがてであるため、常識や基本ルールがわからない人と思われがち)がある.さらに、その他の特有の症状(音や痛みや触覚などの感覚が鋭敏、または鈍感、計算力や記憶力など特異な能力が突出しており、知的機能がアンバランスなど)がある.経過・予後は知的能力の障碍の程度やコミュニケーション能力によって異なる.高機能の場合は自分の適性を活かし、仕事を長く続けられることもあるが、転職が繰り返されることもある.対人的相互反応障碍、コミュニケーションの障碍、興味の限定・常同行動から診断される.環境調整、社会適応のための療育・治療、二次的障碍に対する補助手段としての薬物療法が治・支援として用いられる.

注意欠陥多動症は、不注意(作業で細部を見逃す、ものをよく無くしたり忘れ物が多い)、多動性(着席しつづけられない、座っていても身体の一部が動いてしまう)および衝動性(やりたいと思った瞬間、割り込んでしまう)を特徴とする.通常は12歳までにいくつかの症状が認められるが、近年成人になってはじめて診断されることも増えている.小児期の有病率は7-10%で男女比は4-6:1と男児が多いが、成人になると0.5-4.6%と有病率が低下する.男女比も1:1と性差が認められなくなる.しかし、失敗が繰り返されると、社会的ひきこもりや抑うつ・不安など二次性の精神障碍を呈することもある.興味関心が高い生産性あるいは独創的な活動に結びつけば社会的にも高い適応を示す.ADHD-RS-IV、CAARSなどの評価尺度が開発されている.環境調整、心理療法、薬物療法が行われる.

限局性学習症は、学習に困難を示しそれに対する介入が行われているにも関わらず、読字、書字、算数のいずれかにおいて著しい困難を示すことを特徴とする.

なお、発達障碍の可能性のある児童は、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課による2012年の調査で6.5%とされ、かなり高率に存在する障碍である.発達障害の多くが知的障碍を伴わないため、障碍が看過されやすい.Neurodevelopmental Disorders.

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投稿者:

吾郎

2020年6月にブログ開設.生き延びるための様々な問題を精神病理学に基づいて取り扱っています!ぜひぜひ気軽に遊びに来て下さいね.Our articles include essay, translation, study about literature, psychiatry(psychopathology), humanities.