発生的認識論

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ジャン・ピアジェによる認知発達に関する代表的理論がある.彼は、さまざまな対象に対する認識が、こどもが外界と相互作用し、また、そこに能動的に働きかけるなかで、感覚運動期(誕生〜二歳)、前操作期(二〜七歳)、具体的操作期(七〜十二歳)、形式的操作期(十二歳〜)という四段階を経て高次化していくと仮定した.

感覚運動期はこどもが種々の感覚を通して自分や外界を受け止め、また、それらに対して自ら運動的な働きかけを起こすなかで、行為の枠組みであるシェーマを形成し、それに基づき同化と調節を繰り返すことによって、原初的認識を作り上げる時期である.

前操作期とは、象徴機能あるいは記号機能が萌芽し、さまざまな対象に対して内的表象を形成し、さらに、それを身振りや言語などを通して表現できるようになる時期である.ただし、その思考は未だ直観的で、自己中心的なものでもある.

具体的操作期は、具体的事物に関してはその見た目などに左右されず、その本質的特徴である数・量・重さ・面積などを的確に理解し、論理的思考が可能となる時期である.

形式的操作期とは、経験的事実に基づくのみならず、可能性として考えられる状況を仮想したり、仮設を設定したりしたうえで、ときに記号のみを駆使した論理的思考をも展開できるようになる.抽象的概念や知識の獲得が飛躍的に進む時期である.

このピアジェ理論は認知発達研究の標準とされてきたが、研究の発展とともに、概して乳幼児期の認知機能に関しては過小評価され、思春期・青年期のそれには過大評価されているという批判が向けられるようになる.特に、選考注視法、馴化ー脱馴化法、期待違反法などを用いた赤ちゃん学(Baby science)の研究は、認知的コンピテンスが、ピアジェが仮定していたよりも相当に早い段階から成立している可能性を示唆する.Genetic Epistemology.

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投稿者:

吾郎

2020年6月にブログ開設.生き延びるための様々な問題を精神病理学に基づいて取り扱っています!ぜひぜひ気軽に遊びに来て下さいね.Our articles include essay, translation, study about literature, psychiatry(psychopathology), humanities.