森田療法

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森田療法は森田正馬によって開発された我が国の精神療法(心理療法)である.おおかたの心理療法が不安の緩和を目指すことを暗黙の前提とした一方で、森田はそれらとは異なる不安への独自のアプローチを打ち出した.不安を人生の自然な一部分として、ありのままに受け入れることを目指す方法である.

森田は神経症の機構を「ヒポコンドリー性基調」「精神交互作用」「思考の矛盾」という用語で説明した.「ヒポコンドリー」とは心身が病的ではないかと不安に思う気分である.森田はこのような傾向が顕著な場合を「ヒポコンドリー性基調」と呼んだ.そして、このような素質を基盤に、ある感覚に集中することでその感覚が強まり、その感覚がさらに集中させるという、「精神交互作用」が生じることで、神経症が発症すると考えた.また、再び同じことが起こるのではないかという不安から、感覚と注意の交互作用が高まる悪循環があること、さらに症状をあってはならないこととし、それを取り除こうとする「思考の矛盾」によって生じる悪循環があることを指摘した.

森田療法において、クライエントはありのままに不安を感じながらも、なすべきことに取り組むことを通して、不安を克服していくことを勧める.「目的本位」や「恐怖突入」といった森田療法の概念は、こうしたアプローチを端的に表している.

森田が実際に行っていた療法は自宅を入院施設とする入院療法で、患者は家庭的な環境の中で共同生活を営んだ.入院療法は四期に分かれる.第一期は何もせず、ひたすら横になる絶対臥褥期を一週間行う.第二期は軽い作業をする軽作業期を三日から一週間、第三期はやや重い仕事をする重作業期を一週間以上、第四期は社会復帰に向けた生活訓練期を一週間以上行う.第二期から、日記指導や面接が行われる.かつては入院療法が中心ではあるが、昨今では外来療法、日記・通信療法、自助グループなどを組み合わせて実施されている.認知行動療法との共通点が指摘され、世界的に注目を集める療法である.Morita Therapy.

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投稿者:

吾郎

2020年6月にブログ開設.生き延びるための様々な問題を精神病理学に基づいて取り扱っています!ぜひぜひ気軽に遊びに来て下さいね.Our articles include essay, translation, study about literature, psychiatry(psychopathology), humanities.