内観療法

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内観療法は我が国で開発された心理療法で、1916年に吉本伊信によって編み出された.吉本は浄土真宗の一派に伝わる「身調べ」という修行法による行を重ね、身調べから宗教色を取り去って、内観法の骨格を作った.内観は技法であり、内観を宗教的な修行や自己啓発に用いる場合は内観法となり、心理療法として用いるのは内観療法という.

内観療法には「集中内観」と「日常内観」がある.前者は研修所や病院に一週間宿泊をして、一日約15時間継続して行う.部屋の片隅に屏風を立てて屏風で仕切られた半畳の空間に楽な姿勢で座る.そして身の回りの人々に、してもらったこと、して返したこと、迷惑をかけたこと、の三つのテーマで「具体的な事実」を調べていく.多くの場合、母親、父親、兄弟、配偶者、こども、友人に対する自分自身について、各々過去から少しずつ年代を区切って調べる.そして調べた内容を1−2時間おきに訪れる面接者に5分程度で簡単に報告をする.集中内観中には入浴、手洗い以外は屏風の中で過ごし、食事も面接者が選んでくれる食事を屏風の中で取る.内観を深めるために、テレビ、新聞、携帯電話、日常会話も厳禁となる.

内観療法の特徴は四つ挙げられる.一つは、効率性であり、他の療法で治療に何ヶ月もかかることを一週間で一定の効果で得られることが期待できる.第二は自己治癒性である.内観療法の面接者の主な役割は内観者が内観に集中できるように援助することであり、面接では聞き役に徹し、内観者の食事を運ぶなど身の回りの世話をする役割をも担う.面接者が黒子の役割になる構造のなかで、内観者は自分で気づきを得たと感じることもできる.第三は視点の変化である.他罰的で自己愛に陥りがちな性質を、内観で事実を多面的に見ることによって、自分や他者を統合的に見ることができる.最後は全人的な気づきである.内観療法は内観3項目に取り組むさなかで、深い被愛感を実感すると同時に、普段直面することの自分の醜さや罪深さを思い知ってある種の罪悪感を感じるのであるが、多くは、それにより自分の素直な心に触れ、全人的なレベルでの気づきを得ることができる.内観療法は症状や問題を扱わないが、価値観や人生観の変化の結果として、症状や」問題が消失していくとされる.Naikan Therapy.

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投稿者:

吾郎

2020年6月にブログ開設.生き延びるための様々な問題を精神病理学に基づいて取り扱っています!ぜひぜひ気軽に遊びに来て下さいね.Our articles include essay, translation, study about literature, psychiatry(psychopathology), humanities.