人格

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人格(パーソナリティ)とは、個人内のさまざまな心理的特性(平均傾向)の総体としてあり、組織化され(一部にそれを訝る向きもある)ある程度の通状況的安定性と相対的に高い時間的連続性を有し、個人の物理的および社会的な環境との相互作用や、そこにおけえる適応に深く影響を及ぼすものといえる.

その形成過程には、個々人が生来的に有している遺伝要因と発達過程における種々の環境要因とが関与することになる.行動遺伝学的研究が盛んに行われるなか、人格の個人差に対する遺伝的差異による説明率が数多く報告されている.かつて仮定されていたよりも、人格形成に対する遺伝要因の関与が相対的に大きく見積もられる傾向があるようである.

人格の理解、記述の方法は、一般的には類型論と特性論の2つに大別される.類型論は文字通り、個人の人格を単一の類型(タイプ)として分ける.特性論は人格を複数の特性次元に沿ってそれぞれの程度を量的に表現する.

人格に関する類型論の歴史は古く、心理学が興るはるか前に、古代ギリシア−ローマの時代からすでにそれはあったといえる.20世紀以降も、エルンスト・クレッチマー(Ernst Kretschmer)による体格の差異から人格を類型化する方法や、エドゥアルド・スプランガー(Eduard Spranger)による価値六類型論、あるいはカール・グスタフ・ユング(Carl G. Jung)による内向・外向型の分類のように、一定の影響力を有するいくつか類型論が呈示されてきた.しかし、今世紀、人格研究は類型論ではなく、特性論に基づいて、多く行われるようになってきている.特性論において、人の人格を包括的に理解するために、いくつのいかなる特性次元を設定すべきかということが重要となる.この課題に対して、人格研究者は、多くの場合、語彙アプローチ、統計的アプローチを組み合わせることをもって応えようとしてきた.

これまで、レイモンド・キャッテル(Raymond Cattell)における16因子モデルやハンス・アイゼンク(Hans J. Eysenck)における3因子モデルなど、さまざまな理論が提唱されてきている.しかし、ここ四半世紀の間に最も理論的に注目され、実証的にその妥当性が支持されているのは、外向性、協調性、誠実性、情動安定性、経験への開放性(知性)という五次元をもって、個々の人格の特性を最も網羅的かつに効率的に表現できると過程するものである.この見方に沿った人格測定法(NEO-PI-R)が世界で最も標準的な人格尺度として用いられる.なお、病理的な人格特性に関しては、5因子とは独立的に、ナルシシズム、サイコパシー、マキャベリアニズムあるいはサディズムなどの次元からそれを理解するという向きもあり、殊にその臨床的領域での活用価値は高い.Personality.

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投稿者:

吾郎

2020年6月にブログ開設.生き延びるための様々な問題を精神病理学に基づいて取り扱っています!ぜひぜひ気軽に遊びに来て下さいね.Our articles include essay, translation, study about literature, psychiatry(psychopathology), humanities.